柚子がレディ・ユズコになってから三ヶ月。
 二人の年齢差だとか、ロレンスの家柄だとかでしばしすったもんだしていたがようやく落ち着いた感
じのする午後の昼下がりである。
 二人の婚約が発表されたとき、一番過敏に反応したのはミカエルに娘を通わせている親たちであった。
なにしろ、ミカエルに勤務する若い男性教諭が教え子を娶ったのだ。
「悪い虫」を嫌う親たちが目の色を変えて抗議することは容易に想像できた。
 そのため、異例の父兄込みの全校集会が開かれた。公開質問会の場で、ロレンスは自分の親友を喪っ
たこと、その時に柚子の献身的な支えがあったことを訴えた。
 ラインハルトの名はその場にいた多くの者が知っていたため、その言葉にはそれなりの説得力があっ
た。
 学園内部ではそうやって話が丸く収まったのであるが、外部ではそうもいかなかった。
 ミカエルの卒業生・在校生に関する情報は花嫁を探している良家の間で高値で取引されているし、パ
ンプキン・チェーンの経営者の愛娘についての情報をチェックしていた者も少なからず存在した。
 いささかきなくさい話になるが、柚子も政略結婚やそういうものの対象たりえる人物だったのだ。
 ロレンスの素性について調べた者達が、意外な事実……彼が伯爵であることをつきとめるのに大して
時間はかからなかった。
 家柄を理由に二人の関係に反対しようとした(そして柚子を確保しようとした)者達の野望はその時
点で頓挫した。
 そしてようやく柚子の周辺からきなくさい空気が一掃されたかと思いきや、馬鹿なマスコミに情報が
伝わり、一騒動あったりもした。
 女性週刊誌に己の名前を見つけた柚子は頭を抱え、親友二人は心底同情しつつも「日本から伯爵夫人
誕生」などの見出しに遠慮無く笑ったりもしていた。

 そんな騒ぎもようやく収まり、晴れて夫婦となった二人であるが今は夫の仕事の都合で日本にいるの
であった。
 日本での二人の愛の巣は、学園からさほど遠くないところにあるマンションの一室である。
 イギリスにある「ぼくん家」に比べれば質素きわまる空間であるが、二人で暮らすにはこれで充分で
あった。
 和音に言わせれば、柚子一人が加わったところで空間がさほど必要とも思えず、それまでロレンスが
暮らしていた部屋でいいのでは、ということであったが、やはりそうもいかないのであった。
 まして、柚子はいまやレディ・ユズコなのであり、必要とあらば伯爵夫人として晩餐会だの舞踏会だ
のに出る必要もあったりする。
 そんなわけで、日中夫が職務に精励している間、彼女はイギリスから送られた「家庭教師」に、マナ
ーだのあらゆることをレクチャーされて、レディとしての立ち居振舞いを身につけるべく苦闘していた
のだった。
「お疲れのようですね。柚子さん」
「あ〜〜〜」
 ロッキングチェアに身体を預けたロレンス。その膝の上にちょこんと乗っている柚子。
 なんだか親子のような姿勢であるが、体格差もあってこれが柚子のポジションとなっていた。
 いかに賢い柚子といえど、あらゆる意味で常識の異なる社交界でのあれこれの学習は心身ともに疲労
するものであった。

 膝の上に乗り、自分に体重をかけてくる柚子の小さな身体を包み込むように抱きしめる。
 小さな、柔らかな身体。愛らしさと愛おしさで胸が満たされる。
「……苦労をかけますね」
「大丈夫です」
「ご無理はなさらぬよう」
「はい」
 背後から頬を寄せ頬ずりする。すべすべとした肌。しばしその感触を堪能し、右手でこちらを振り向
かせ唇を重ねる。
 触れ合うだけの優しいキス。結婚して三ヶ月もたつくせに、未だベッドの外では深いキスをするのに
ためらいのある二人だった。
 それでも、今日の彼はいささか大胆だったらしい。妻の頬を撫でていた手が、彼女の胸へと伸びる。
「……!」
 ぴくん、と奮える柚子。小ぶりな膨らみを優しく撫でられ、頬を真っ赤にしながらソフトなキスに酔
っている。
「……あ……」
 撫でるだけの指先が、揉む動きへ、そして摘む動きへと変化する。それはあくまで優しく、焦らすか
のように彼女の性感を静かに煽る。
 いつの間にかブラウスのボタンを外した指先が、肌着の下にすらもぐりこんで彼女の柔肌を賞味する。
「……あ……ん……」
 漏れそうになる甘い声は、重ねられた唇によって消されてしまう。そして、悪戯な指先が彼女の太股
に触れた。

「は……あ……」
 内股を撫でられる。痩せすぎでも肥りすぎでもない適度な肉付き。それなりにむっちりした腿の感触
はとても触りごこちのよいものであった。
 だが、柚子の注意は己の腿ではなく、ヒップに当たる堅いものの方に集中していた。
 元気に主張するそれが、ズボンとスカートごしに彼女を求めているサインを送ってくる。
「あンっ……」
 ロレンスの指が、ショーツのクロッチに触れた。すでにそこは、恥ずかしいくらいに濡れており、薄
い布地がぴったりと肌にはりついて微妙な凹凸を浮かび上がらせている。
 ナイロンの上から撫でまわされ、ひくんと仰け反る柚子。
 そして、指先が薄布の下にもぐりこむ。
「あ、あ、ああ!」
 優しくソフトな、しかし入念な愛撫。柚子が最初の頂きに達してしまうのに、さほど時間はかからな
かった。
 がくり、と崩れる柚子に再び唇を重ねるロレンス。
「……寝室に、いきましょうか?」
「……はい……」
 小柄な妻を、ひょい、と抱きかかえる夫。もう一度唇を重ねて、彼は寝室へと歩き出した。

 ベッドの上に横たえられた柚子。
 一枚、また一枚と着衣を奪われる。すでに一度達してしまった彼女はまったくなすがままだ。どうや
ら、幼く見える割に性感は豊からしく、かなり敏感な体質らしい。
 やがて、最後の一枚すら奪われ、生まれたままの姿にされてしまう。
 ロレンスが自分も脱ぎ始めた頃、むっくりと状態を起こす。ようやく自力で動ける程度に回復したら
しい。
 全裸になった彼が彼女の隣で横になる。
 愛しい夫を見つめながら、彼女は自ら「最後の一枚」に手をかける。
 それは着衣でも下着でもない。
 トレードマークともいえる三つ編みのおさげ。
 背が低く童顔の彼女をさらに幼く見せているその髪型は、動き易いという理由で嫁いだ今もなお彼女
の象徴であった。
 それを自ら解く。
 ふぁさっ、と長い髪が拡がる。編み込まれていたせいでゆるやかなソバージュのかかった髪。髪型の
変化により、彼女の纏っていた空気すら変わったように見える。
 コロボックルとすら呼ばれた幼いちんちくりんな印象はそこにはなく、幼さと妖艶さを併せ持つ少女
娼婦のごとき雰囲気。
 いかに子供じみた風貌とはいえ、彼女は人妻であり、そしてオンナなのだ。
 彼女と、そしてロレンスしか知らない微笑。
「……あなた……」
 しなだれかかるように夫に身を寄せる。そして、柚子の方から唇を重ね、舌を送り込む。
 さっきは遠慮していた、大人のキス。
 彼女の頭を撫でていた手が、髪をすくように下りていき、やがて小さなヒップを撫で始める。内股を
撫でるようにして前へ、前へ。そして、しっとりと濡れた泉に触れる。
「……あ……」
 小さな性器をまさぐり、さらに濡れさせようとする。きつい肉洞に彼を受け入れさせるためには必要
なことなのだ。
 こうして、二人の夜は深まってゆく……。

 終





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