「待ってくださーい!」
その声にハッとして、俺はエレベーターの『開』のボタンを押す。
「すみま……あ!なんだぁ、とーるちゃんかぁ。おはようございます!」
間一髪で扉が開き、誰かと思ったら、飛び込んで来たのはお隣の久美子ちゃんだった。
初々しい制服姿である。
この間まで『あるいてさんぷんのこすもすようちえん』に通っていた小さな女の子だった
のに。
いつの間にやら大きくなって、『こすもすようちえん』は『聖ミカエル学院』に変わっていた。
時の流れは早い。
ついこの前、姉ちゃんとここに越して来て、式部さんや久美子ちゃんと出会ったと思った
のに。
その姉ちゃんはいつの間にか式部さんと結婚しており、当時受験生だった俺は、今や外
交官の下で翻訳の仕事なぞしている。  
「……? とーるちゃん?」
物思いに耽っていた俺を、久美子ちゃんが不審そうに下から覗き込んできた。
「あっ……ゴメン。おはよう久美子ちゃん。今日入学式だっけ?」
「そうだよ。見て見て!聖ミカエルの制服だよ。これ着てるとお嬢様に見えるでしょ〜?」
狭いエレベーターの中で、くるんと回って見せてくれた。と、自分の足にガッとつまずく。
「キャッ!!」
咄嗟に差し出した俺の腕の中に倒れ込んできた。
「アハハ……つまずいちゃった」
屈託のない笑顔で笑う。
とに、もう。
幾つになっても世話がやけるんだから。
見かけは立派な(?)女子高生でも俺の中ではいつまでも、こすもすようちえんの久美子
ちゃんのままだった。

「とーるちゃんはこれからお仕事?」
エレベーターが一階に着いた。
俺たちは肩を並べてエントランスを歩いて行く。
「うん」
「毎日大変ね。ご苦労様。」
「いえいえ。そういえば今日の入学式、うちの姉ちゃんも行くの?」
「ん〜、そのつもりだったんだけど。昨日から風邪引いちゃってて……。」
「え?じゃ誰も行かないの?」
「うん……。おじちゃんはお仕事だし。エリカちゃんにも安静にしてて欲しいもん。 それに、
どってことないよ、高校の入学式なんて。小学生じゃあるまいし」
そう言って二カッと笑った。
しかし、流石に心細さは隠せない様だった。それはそうだろう。
誰一人として知らない人たちの中に、独りで入って行かねばならないのだ。
「……もう少し早く分かってたらなぁ。仕事休んだのに」
「ううん、いいのいいの!大丈夫だよ。ありがとう」
慌てたように久美子ちゃんは手を振って言った。
「あ、じゃあせめてさ、久美子ちゃんの入学祝いやろうよ。ね?」
「えっ、ホントにいいの?!」
うわ―……と目を輝かせて俺をじっと見た。俺はニッコリ笑って頷いた。
「やる!やりたい!」
「じゃ決まり。俺も今日はなるべく早く帰るからさ。待っててね」
「うん!!」
久美子ちゃんは嬉しそうに手を振ると、元気よく歩き出した。

その日は忙しかった。
やらなければいけない仕事が山積みになっており、ようやく一息つけたのは昼をだいぶ過
ぎた頃だった。
「ハーッ……」
溜め息と共に煙草に火をつける。心持ち、ネクタイを緩めた。
今まで他の事など考える暇もなかったが、やっと余裕ができたので改めて久美子ちゃんと
の約束を思い出す。
頭の中で今日の予定を立てることにした。
―まず、定時に帰ってシャワーを浴び、着替えたら久美子ちゃんを迎えに行って……。
そうだ、この前同僚に教えてもらったレストランに行こう!あそこはケーキが美味しいって評
判らしいから。
久美子ちゃんはケーキが大好きなのだ。というより甘い物が大好きである。姉ちゃんがお菓
子を作る度に目を輝かせて頬ばっていた。
そんな久美子の姿を思い出し、独りくすりと笑う。
……だけど、あんなに小さかった久美子ちゃんももう高校生になったのか。
制服姿、よく似合ってたな……。
俺は寂しいようなくすぐったいような、変な気持ちになった。
なんだか親父にでもなった気分である。
「よしっ!早く仕事終わらせてさっさと帰るぞ」
そして久美子ちゃんの喜ぶ顔を見るのだ。

だが、甘かった。
なかなか仕事が終らないのだ。
一つ片付ける度何かしら新しい仕事が入る。
職業が職業だけに、「用事があるんでお先に」という訳にはいかない。
俺はそれこそ必死になって仕事を片付けていった。  

「北原君、ご苦労様。そろそろ上がってもいいよ」
上司の声にハッとなった。袖を捲って腕時計を見る。
10時……!!
「……まずっ」
思わず声が漏れた。慌てて書類をかき集めデスクを整える。
「すいませんっ。お言葉に甘えてお先に失礼します」
上司にペコリと頭を下げると鞄を掴んで、一目散に飛び出した。

まずい。これはまずすぎる。
駅まで猛ダッシュ、電車に飛び乗り、がたんがたんと揺られながら俺は、舌打ちばかりして
いた。
自分から久美子ちゃんに言い出しといて……。
一瞬、「仕事なんだし久美子ちゃんも分かってくれるのでは」という考えが頭をかすめた。
いや、そーゆーことじゃないだろ……。
俺はすぐにその考えを打ち消す。
久美子ちゃんを、久美子ちゃんとの約束を裏切ってしまった。
脳裏に久美子ちゃんの笑顔がよぎる。嬉しそうに手を降ってた久美子ちゃん。
俺との約束を楽しみにしていたに違いない。
ああもうっ。電車の速度がじれったく感じた。
早く、もっと早く!駅なんか一つ二つすっ飛ばしたっていいだろう?!

電車がやっと駅に到着する。
慌だしく降りると階段を駆け降り、公衆電話に飛び付いた。
ダイヤルした先は勿論、式部家である。
何度かのコールの後に 『はい、式部でございます』
「良かった、姉ちゃん!」
『透?』
「あのさ、久美子ちゃんいる?」
『いないわよ』
気のせいか?姉ちゃんの声が冷たく感じる。
「嘘?こんな時間にどこへ……」
『さぁどこかしらね?無責任なとーるちゃん』
やっぱり気のせいではなかったか。
『8時過ぎまでウチで待ってたけど、アンタん所で待つって、鍵貸してくれって言われたわよ。
一体、何考えてるの?!久美子ちゃん楽しみに待ってたのよ!』
「ごめん姉ちゃん。説教は後で聞くから」
そう言うとガチャッと受話器をフックにかけ、俺は改札口に向かって走り出した。  

6階の部屋に辿り着いた時、俺の息はすっかり上がっていた。
エレベーターを待つのももどかしく、階段を駆け上がってきたのだ。
ハァハァと肩で荒く息をしながら俺は、鍵を回し玄関のドアを開けた。

部屋の中は真っ暗だった。
(……?おかしいな、来てるはずなのに)
暗闇の中手探りでリビングまで行き、明りをつけようとしたその時。
「うわっっ」
突然誰かに飛び掛かられて、俺は思わず奇声を上げた。
「お帰りなさーい」
「くっ久美子ちゃん……」
「ふふっ、びっくりした?」
すっと俺の体から手が離れたかと思うと、リビングの明りがパッとついた。
俺は驚きの余り、一瞬言葉を失った。
汚れていた部屋はきれいに片付き、なんと洗濯までされていた。
テーブルの上にはラップのかかった料理の皿が並び、圧巻はデコレーションされた大きなケー
キである。
「これ……どうしたの?」
やっとの事で言語能力を回復した俺はどもりながら尋ねた。
「作ったのよ勿論!とーるちゃんのお仕事終わるの待つついでにね。驚かそうと思って……」
にこにこしながら久美子ちゃんが説明する。だがにこりともしない俺を見て段々不安になってき
たのか、
「あの……ごめんなさい。勝手にお部屋とかいじっちゃって。とーるちゃん、怒ってる?」
上目遣いで俺の顔を覗きこむ。

俺は慌てて、
「そんな……怒る訳ないよ。あんまり驚いたんで声が出なくて……」
「ホント?良かったぁ」
久美子ちゃんがホッとしたように笑う。
「とーるちゃんを驚かそうと思ったんだもん。大成功だね」  
久美子ちゃんの入学祝いをしようなんて自分から約束しといて。
散々待たせた挙句、電話の一本すら入れなかった。
それなのに。
この子は恨み言一つ言わず、嫌な顔もせず部屋を片付け料理まで作ってくれたのだ。
俺を驚かそうと。
ただそれだけのために。
目の前に立ってにこにこしている久美子ちゃんを、俺は胸の詰まる思いで見ていた。
「とーるちゃん?」
首を傾げて不思議そうに俺を見上げる彼女を次の瞬間、俺は抱き締めていた。

「と……とーるちゃん?!どどどどしたの?」
俺の胸の中で、久美子ちゃんがバタバタともがく。抱き締めている腕に力を込めて身動きを
封じると、意外にもおとなしくなった。
「……煙草の匂いがするね」
小さな声でそんなことをつぶやいた。俺は久美子ちゃんの頭を撫でながら、
「ホントにごめん……。せっかく久美子ちゃんと約束したのに破って……」
「んーん。お仕事だもん、しょうがないよ。それにホラ、こーやって急いで帰って来てくれたし…
…。じゅーぶんだよ」
なんと健気な子だろう。
俺は思わず久美子ちゃんの額に髪に口ずけを落とした。

ピクッと小さな体が動く。俺は片手で久美子ちゃんの顎を上に向かせると、そっとキスをした。
唇を離し彼女を見ると、真っ赤になりながらもおずおずと俺を見つめ返す。
(……いいのかな)
頭の隅でチラリと思うも衝動には逆らえない。再び目を閉じ唇をつける。
長い口付けの後、俺はそっと舌を彼女の唇の中に滑りこませた。
久美子ちゃんが身を強張らせたのが判った。
それでも強引に舌を捩じ込み口の中を犯していく。
「……んっ……」
不本意に漏らしたその声は俺の身体に火をつけてしまった。
激しい一方的なキスを繰り返しながら、久美子ちゃんの体を持ち上げてベッドに運ぶ。
きれいに整えてくれてありがとう。でもごめんね。これからまた乱してしまうけど。
ドサッと二人揃って倒れ込んだ。
「あ……あのとーるちゃん……。あたし……」
「嫌?」
彼女の身体にのし掛かって逃げ場を塞ぎ、嫌?も何もないもんだ。
でも、無理矢理にはしたくない。
大丈夫。まだここまでだったらやめられる。
久美子ちゃんの顔は今や、パニック寸前といった表情である。
「嫌だったらやめるけど?」
優しく言ってみた。
ここでやめればまた前の二人に戻れるよ。
仲良しの友達、とーる君と久美子ちゃんに。
「あ……い、嫌じゃない、けど」
震える声で久美子ちゃんが答えた。
「あたし……でいいの?」

その言葉に俺はくすっと笑って、
「久美子ちゃん、だからしたいんだけどな」
「そ……そう」
驚いたことに、久美子ちゃんは俺の首に腕を回してきた。
「あの……じゃあ優しくして下さい」
「了解しました」
俺はまた笑うと、その小さな顔に沢山キスの雨を降らせた。そのまま首筋に唇を這わせる。
「……っ!」
そうか、久美子ちゃんはココが弱いのか。
そんな事を思いながら右手を彼女の服の下に滑りこませた。
ガッチリとブラジャーでガードされた膨らみを、手の平に包んで優しく撫で上げる。
「あ……!んっ……」
久美子ちゃんは目をギュッと瞑り、しっかりと俺に抱き付いている。
背中に手をいれホックを外すと、下着を押し上げ直に触れた。
その膨らみの頂きを指で引っ掛けて擦る。
久美子ちゃんの身体がじれったげにくねり、唇から吐息が漏れる。
「ここ……気持ちいい?」
尋ねると久美子ちゃんはぶんぶんと首を振って
「……わからな……っ」
「そう」
俺は裾を捲り上げると胸を露わにし、そっと口に含んだ。
「やぁっ……っ!とーるちゃ……。舐めないで……」
「なんで?久美子ちゃん、可愛いよ?」
執拗に口と手で愛撫を繰り返す。
久美子ちゃんはその度に切なげに啼いた。

俺は手を下に滑らせると、太股を撫でながらゆっくりとスカートの中に這わせていく。
流石に怖いのだろう、久美子ちゃんの身体が小刻みに震えた。
「……」
そこで、下着の溝に手を這わせると今度はまた太股へと戻って行かせた。
何度かそれを繰り返す。
「……っ?」
不審に思ったのか久美子ちゃんは、ギュッと瞑っている目を片方だけそぉっと開けてそっちを
見た。
「……とーるちゃん?」
「ん?」
わざと聞き返す。ようやく両目を開いた久美子ちゃんは、身を捩ってくっくっと笑う。
「くすぐったい……」
「やっと笑ってくれた」
「あ……」
俺は久美子ちゃんの手に自分の手を重ねる。
「そんなに緊張しないで」
「そんなことゆったって……無理だよぅ。初めてなんだもん……」
眉をしかめて駄々っ子の様に言う。
可愛くて堪らない。
「あ……っやっ……!」
突然下着の中に手を差し入れ這わせると、子供っぽかった表情はたちまち女に変わる。
「あっあっ……だめぇ」
精一杯の拒絶の言葉も俺を誘っているかの様である。
手を休めずに、空いてる方の手でネクタイを外しワイシャツを脱ぎ捨てた。
その間もキスを繰り返し、久美子ちゃんの喘ぎを唇で塞ぐ。
「……んーっ、あ……あんっ……やっ」
久美子ちゃんの口の端から受け止めきれなかった唾液が零れる。
俺は舌を這わせそれを舐めてやった。
(……このくらい馴らせばもう平気かな?)

あたしはガチガチに緊張していた。
頭の中は真っ白、手足は冷たく痺れている。
恥ずかしくて堪らなかった。
「そんなに緊張しないで」「可愛いよ」って、とーるちゃんは余裕の笑みを浮かべて言うけど。
無理無理!! とてもあたしにはそんな余裕はない。
「……っはぁ……っ」
とーるちゃんが手を止めた。
しばしの休憩。あたしは酸欠状態の頭に酸素を送り込むべく、深呼吸をした。
小さく目を開けてとーるちゃんを見ると、あたしに背を向け何かごそごそやっている。
何をしてるのかな……? とーるちゃんの金色の髪がキラキラ輝いててとってもキレイだった。
とーるちゃんがくるっとこちらを向く。あたしは慌てて目を閉じた。
ぎしっ、とベッドの軋む音が聞こえて、あたしの上にとーるちゃんの体が重ねられる。
心臓、破裂しそう。
「久美子ちゃん……。好きだよ……」
耳朶を甘噛みしながら囁かれた。思わず腰が浮く。
「あた……あたしもっ」
「痛くしないから」
その言葉と共に、とーるちゃんがあたしの中にゆっくりと入ってきた。

「……っ?!」
胃が、頭の先から飛び出したかと思った。
「ああっ……」
痛い、と言おうとした時。
耳元でとーるちゃんが吐息を漏らした。
……気持ち、いいの? あたしのお腹にうねるような、温かいものが込み上げてくる。
「痛くない?」
「……うん」
こくりと頷く。すると、本当に痛さよりも……なんだろう、違う感じがしてきたのだ。
「入った……よ?」
「うん……っ。あっ!」
あたしは思わず悲鳴をあげた。とーるちゃんが腰を急に動かしたのだ。
最初はゆっくりと。 ちょっとずつ速度を増してゆく。
「あっあっ……んあっ……」
声が止まらなかった。
「久美子ちゃん、久美子ちゃん可愛い」
「んっ……はぁっ……やっ……」
とーるちゃんの手があたしの胸を包む。同時に舌があたしの舌を捕らえる。
痛みは今や消え、あたしは快感の波に飲み込まれていた。
「……とーるちゃ……もっ……ゆっくり……」
「……ごめん、止まらない」
とーるちゃんの喘ぎにあたしの背中が跳ね上がった。
「……やっ、らめぇ……っ」
舌が回らないよぅ。
このまま体がふわりと浮かんでしまいそう。あたしはとーるちゃんの背中にしがみついた。
とーるちゃんの広い背中は汗ばんでいて暖かい。

「……久美子ちゃん?」
とーるちゃんの胸に顔をうずめていたあたしは、ピクッとした。
恥ずかしくて、顔が上げられない。
あんな……あんなことがあった後でどんな顔してとーるちゃんを見ればいいのか、判らなかった。
「久美子ちゃん、俺を見てよ」
渋々、顔を上げる。
とーるちゃんは、見たこともない程優しい顔であたしを見つめていた。
かぁぁーーとあたしの顔が真っ赤になる。
「……見ないでよぅ」
「なんで?」
「だって、恥ずかしいもん」
呟くと、とーるちゃんはフッと笑ってあたしにキスをした。
「ずっと、久美子ちゃんとこうしたかったんだ」
そんなことを言われてしまったら、恥ずかしさなんてどうでも良くなっちゃうから、不思議。
「あたしも……。とーるちゃんのお嫁さんになるのが夢だったの」

その後あたし達は起きて、ご飯を食べた。
とーるちゃんは「お祝いだからね」と言ってちょこっとだけワインを飲ませてくれた。
「ごめんね、プレゼントも何も用意できなくて」
すまなそうにとーるちゃんは何度も謝る。
だいじょーぶよ。
プレゼントはちゃんと、貰ったもんね☆









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